”ビートルズでいうHelp!みたいな” UNICORN - PANIC ATTACK
先日「奥田民生ってユニコーンのボーカルだったんだ(笑」というツイートを見かけて衝撃を受けてるおっさん(21歳)です。
人気絶頂の中93年に一度解散しているので20代とその下の世代はユニコーンというバンドの存在をあまり認知しておらず、奥田民生はさすらいのソロミュージシャンと把握しているのが実情である。さすらいおじさんが昔は髪をツンツンにしてステージを駆け回って女の子にキャーキャー言われてたことなど知る由もないのだ。
(コメントでご指摘頂きましたが上記画像左は若かりし民生氏ではなくPOLYSICSハヤシ氏がライブでコピーした時の写真だそうです。めっちゃ似てるのでこのままにしときます(おい))
まずはユニコーンについて、Wikipedia大先生よろしくお願いします。
UNICORN(ユニコーン)は、日本のロックバンド。1987年、アルバム『BOOM』でデビュー。1986年に結成し、1993年に解散。2009年に再結成し活動再開した。バンド名は、イギリスのロックバンドT・レックスのアルバム『ユニコーン』に由来している。
音楽性の違うメンバー全員が作詞と作曲とボーカルを担当できるバンドである。
その後のロックバンド、ミュージシャンに与えた影響は大きく、ゆずや小渕健太郎、ASIAN KUNG-FU GENERATION、BEAT CRUSADERS、Janne Da Arc、レミオロメン、SEAMO、志村正彦(フジファブリック)、和田唱(TRICERATOPS)、おのまきこ(花*花)、キンモクセイ、aiko、THE BACK HORN、スキマスイッチ、MONGOL800、マキシマムザホルモン、ファンキー加藤(FUNKY MONKEY BABYS)、POLYSICS、DOES、髭(HiGE)、SPECIAL OTHERS、monobright、アナログフィッシュ、西村晋弥(元シュノーケル)、チャットモンチー、サカナクション、リヴァース・クオモ(スコット&リバース)、OKAMOTO'S等、近年活躍している多くのミュージシャンがその影響を公言している。
ということで伝説のバンド、ユニコーンの初期の作品を掘り下げていこうと思う。今回は1988年リリースの2ndアルバム「PANIC ATTACK」。現体制になって初めてのアルバムである。
当時はアイドル的人気だったのもうなずけるルックスの民生とEBI(Ba)が印象的なジャケット。レコーディング中はまだサポートメンバーだったため阿部(Key)はジャケットに写っていない。
アイドルからの脱却をひそかに狙う
80年代バンドブームの中心にいたユニコーン。ジャニーズ張りの黄色い歓声を受けていたのは当時のライヴ映像を見てもすぐ分かる。
いくつか共通点があることからユニコーンは日本におけるビートルズだと思っている。陽気なロックンロールを鳴らし、アイドル的人気があったビートルズは、「Help!」から「Rubber Soul」~「Revolver」にかけて一気に高度で多彩な音楽性を持つミュージシャンへと変貌した。ユニコーンも今作「PANIC ATTACK」から「服部」~「ケダモノの嵐」にかけてこちらも音楽性が多彩になり、脱アイドルを遂げる。つまり「PANIC ATTACK」は「Help!」である!!!!(無理やり)
ということで本作「PANIC ATTACK」は現在のユニコーンらしさが見え隠れする脱アイドルをひそかに狙う非常に重要なアルバムである。
民生のアカペラから始まるビートルズの曲と同名のアッパーチューン、#1「I'M A LOSER」は前作と大差ないロックサウンドではあるが、MVに彼ららしさが見て取れる。
全員もれなくめちゃくちゃカッコつけてるのに誰一人楽器を持っていない。ゴールデンボンバーの元ネタは多分これである()
(※MVがYouTubeから削除されたので代わりのライヴ映像を貼ってます。)
代表曲である#3「SUGAR BOY」も同じくザ・ビートロックであるが、歌詞は友人のホモセクシャルのシュガーボーイに当てた曲だとか。今回は民生氏のメンバー紹介付きの貴重なライヴ映像をどうぞ。若い。
#4「抱けないあの娘 -Great Hip in Japan-」の歌詞なんて最高に面白い。曲ももちろん良いんだけど残念ながら参考映像がないため、星野源氏の解説をどうぞ。
個人的に今作で1番好きな#7「サービス」。哀愁しかない。キラキラしてるのに切ないこのアウトロは何なのか。
サビ以外はイケメン童顔EBIさんがヴォーカルをとるペケペケナンバー(?)、#8「ペケペケ」。コーラスワークも聴いてて楽しい。#4「抱けないあの子」と同じくコミカルなラブソング。
アルバムの最後を飾る#11「ツイストで目を覚ませ-Twistin’ in Suits’85-」。民生のビートルズ好きが隠し切れてない。残念ながら映像がこれしかなかった。ダウンタウンもウッチャンナンチャンも若い。リコーダーがかわいい。親父さんもベースなんだな。
最後に
前述の通り、ユニコーンは次作「服部」にてこれまでのビートロックからフェードアウトし、メンバー全員が作曲や作詞を担当し始め、音楽性が多彩になる。今作はその”夜明け前”的な作品となった。
勢いのある楽曲が大部分を占めてはいるが、捻りのある曲やコミカルな詞もあり、現在の彼ららしさが感じられる。
ユニコーンが80年代バンドブームに逆らい始めるきっかけとなったアルバムである。若い人も一度聴いてみてはいかがだろうか。