お願いだからAttack Attack!とWoe, Is Meを聴いて成仏させてやってくれ
お願いだ。彼らを供養してくれ。
普通に生活している方々は人生で出会うはずのなかった2バンドである。別に人生に必要無かったとは思うけどようこそ。メタルコアの沼へ。
ラウドロック好きや、そもそもこのジャンルが大好きな方々は恐らく知っているでしょう。僕がやかましい音楽にハマっていたころに一番お世話になったバンドである。
しかしこの2バンド、共に2013年に解散している。そのため知っている方々でも半数近くは忘れかけているんじゃないかと思って今回この記事を書くことを決めた。ちゃんと成仏させてやってくれ。
どんなバンド??
ジャンルとしてはメタルコア、ポストハードコアに属する。分からない方に擬音で簡単に説明すると「ズンズン、ガチャガチャ、ギャーギャー」って感じ。
MVがクソダサいのはテンプレだから気にしないでほしい。
音楽性では日本でいう『Crossfaith』や『なんちゃらラスベガス』と同じ括りになる。もともとメタルコアは90年代後期からアンダーグラウンドで細々とあったジャンルであるが、彼らの登場により一大ムーブメントが起きた。それが上の曲とMVからも分かるように、シンセサイザーを全面に出してエレクトロ/ダンスミュージックをメタルコアに導入したことである。この音楽は「エレクトロ二コア」や「ピコリーモ」と呼ばれた。
これがアメリカやイギリスの若者を中心に大ウケし、2008年以降メタルコア界隈ではAttack Attack!(以下AA!)を真似たバンドが次々と出現する。
その1つがWoe, Is Me(以下WIM)である。
クリーンボーカルのタイラー・カーターの圧倒的な歌唱力と無機質ながっちりした音が特徴的。
後期をおススメする
この界隈のバンドの特徴として、「メンバーが頻繁に脱退する」というものがある。ボーカルですら2、3回は変わったりするし、1回脱退してまた帰ってくるというパターンもある。解雇なんかもしょちゅう。日本では珍しいことである。
この2バンドも例外ではない。Wikipediaのメンバーのタイムラインを見てみると、
Attack Attack!
Woe, Is Me
AA!は6年、WIMは4年という短い活動期間にも拘わらずこんなにメンバーが出たり入ったりしている。AA!に関してはボーカルが5人も在籍していたことになる。そのため、短い活動期間ではあるが、2バンドとも、前期と後期に分けることができる。
AA!は華々しいデビューをしたが、1stアルバム発表後、すぐにうるさい方のボーカリストのオースティン・カーライルが抜け、それまでキーボード担当だったケイリブ・ショーモがうるさい方のボーカルを務める。
適応能力の高さすげぇ。バンドでキーボードしかやってなかった奴がいきなりフロントマンになって遜色ないとか逆に問題だろ。サカナクションの新曲岡崎さんが歌って「なんかサカナクション変わったね、どこがって言ったらちょっとわからんけど」ってなるのと同じ。
しかし、2ndアルバムリリースから5か月後、ギターとうるさくない方のボーカルを務めていたジョニー・フランクが神のためにバンドを脱退。清水富美加か。
On November 10, 2010 Johnny Franck announced he had departed from the band to focus on his relationship with God. (Wikipedia)
その後、なんとAA!は新たにボーカリストを入れずに4人体制で3rdアルバムをリリースする。お前、さすがに元キーボードに両刀ボーカルは、、
ほんとにキーボーディストだったんかお前、、歌うために生まれてきただろっていうくらいの適応能力。ええ声やん。
さて、ボーカリストの相次ぐ脱退に気を取られていたが音楽性がこの3rdで変わっているのが分かる。エレクトロ/ダンスミュージック要素を廃して、ストレートなメタルコア/ポストハードコアになっている。スタイリッシュでかっちりしたこの3rdが個人的にお気に入りである。AA!は最初のピコピコやってMVで飛び跳ねてるDQNというイメージが大きすぎるが、後期には大人になった作品も作り出している。
しかし残念ながらこの3rdをリリースして1年も経たずケイリブを含む3名(1人はサポートメンバー)が脱退し、新しくメンバーを加入させるも新作をリリースする前に解散してしまった。しかも兄弟喧嘩というオチ。
WIMは2011~2012年に相次ぐ脱退によりドラムのオースティン・ソートン以外のメンバーが総入れ替えに。しかし、混乱期の2011年9月に出されたシングル『Vengeance』はメタルコア史に残る名曲に。
WIMは歌メロのセンスが良い。出だしから絶叫→サビでクリーンボーカルという構成のバンドが多々ある中、彼らの歌メロは突出していた。
オースティン以外のメンバーが完全に入れ替わり、2ndアルバム『Genesi[s]』がリリースされる。
これが名作。ぜひ聴いてほしい。僕のWIMの好きなとこがこれに全部詰まっている。
アルバムにはAA!のケイリブが参加している楽曲もある。
入れ替わったメンバー全員でみなさん察しの通り諸悪の根源だったオースティンを脱退に追い込ませることに成功するが、EPを1枚リリースした直後に解散を発表した。
メンバーたちのその後
入れ替わりが激しい分、出て行ったメンバーは新たにバンドを結成することが多い。AA!の初代うるさい方のボーカリスト、オースティン・カーライルは2009年に『Of Mice & Men』を結成する。『Linkin Park』のツアーに帯同するようになるなどバンドはヒットし、カリスマボーカリストとなるも、2016年に持病のマルファン症候群の治療のため、バンドから脱退してしまう(メンバー間の亀裂もあったようだけど)。
AA!を支えたケイリブは脱退後すぐ、2012年に『Beartooth』を結成。後期AA!をさらにハードコアにしたバンドで活躍中。レコーディングは全部1人でやるかなりワンマンなバンドっぽいけど。
WIMを一気に抜けたメンバーはそのまま『Issues』を結成。最初にリリースされたEPではWIMが同時期に出したアルバムタイトルを歌詞に出して煽り合うなどしていた。
WIMの時とは違い、R&Bやラップなどへのアプローチを行なっており、これが意外とハマっている。
ちなみにボーカルのタイラーは『ONE OK ROCK』のTakaと仲が良く、お互いの楽曲に参加したり、ライブでも共演している。
ということで
最近はこのジャンルも衰退して、別ジャンルへのアプローチを見せるバンドが多く見られる。残念なことではあるが、こうやって音楽はどんどん多様化していく。
2000年代後期~2010年代初頭のメタルコアを牽引した2大バンドを紹介させてもらった。すでに活動はしていないが、風化させないためにもぜひ聴いてほしい。
南無南無。