綿飴と水飴

綿飴と水飴

140字にまとめられない好きな音楽のこと

『イケてない奴らの感情爆発』Weezer - Pinkerton

f:id:shabazooo-tkfm:20160709170319j:plain

 

 

全世界のイケてない男達の正義の味方、ウィーザーの2ndアルバムである『Pinkerton』について今回は話をさせてほしい。

 

以前ウィーザーの紹介記事でも書いたけど、このPinkerton、個人的に一番好きなアルバムなんですよね。マイオールタイムベスト。無人島に持っていくならこれ。葬式で流してほしいアルバムもこれ。家が火事になったとき1つだけ持って逃げるならこれ。

mizuame-wataame.hatenablog.com

 

ウィーザーのファンはだいたいこのPinkertonか前作「Weezer(通称ブルーアルバム)」の2派に分かれる。もちろんこっちも好き。

 

Weezer

Weezer

 

  

しかし売り上げは300万枚売り上げたブルーアルバムの1/6にも満たなかったようで当時のアメリカ(リリースは1996年)では完全に失敗作扱い。しかし、今では再評価を受けてる、当たり前だ。

 

でも売れなかった理由は分かるし、それが僕がこのアルバムを好きな理由でもあったりする。

 

 まずはアルバム1曲目を聴いてみる。

Tired of Sex

Tired of Sex

 初めてこのCDを再生した時のことを今でも覚えている。最初のこの曲のイントロで完全に掴まれた気がした。バンド名聞いたことあるだけのジャケ買いで全然期待してなかったのに。 

 

 今作は何と言ってもリヴァース・クオモが自分を曝け出したダークな歌詞を叫び、サウンドは重く・荒いものになっているのが特徴である。1曲目から感情爆発

f:id:shabazooo-tkfm:20161114162241j:plain

 

マッチョイズムが最強のアメリカでヒョロヒョロメガネの青年達がモテねぇ!!!って叫んでもダメだったんだろう。前作はまだポップで聴きやすかったから売れたんだろうけど。

 

でも日本ではこのアルバムは好評であった。そして日本にはウィーザーに影響を受けたというバンドが数多くいる。エルレとかアジカンとかとかとか。

マッチョイムズの対極にある日本ではウケたんだろうな当時でも。

f:id:shabazooo-tkfm:20161114162402j:plain

 

 音と歌詞が重くなっていても根底は全然変わっていない。例えば、

 

2曲目の『Getchoo』は1曲目のテンションそのままに同じく感情爆発。

Getchoo

Getchoo

I can't believe

What you've done to me

What I did to them

You've done to me

 

信じられない

君からこんな仕打ちを受けるなんて

僕が悪いからなのかい?

君がこんなことをするのは

 

 そして4曲目『Why Bother?』。

Why Bother?

Why Bother?

Why bother?

It's gonna hurt me

It's gonna kill when you desert me

This happened to me twice before

It won't happen to me anymore

 

もうやめてくれよ

傷ついてしまうから

見捨てられると死ぬほど苦しいから

以前も2回こんなことがあったから

もうあんな思いはしたくない

 

 2曲続けて目も当てられないほどのフラれソングである。ナード男子の俺でも引いてる。前作から変わったといっても「泣き虫ロック」は健在である。

 

泣きながら色んなものをぶん殴ってるような印象を受けるんだよねこのアルバム。全部空振りなんだけど。それに感情移入してしまう。

 

そして名曲『Across The Sea』。このイントロを生で聴いたら泣くと思う。

Across the Sea

Across the Sea

 日本の女の子のファンから手紙が届いたという歌。サビでは、

Why are you so far away from me?

I need help and you're way across the sea

I could never touch you, I think it would be wrong

I've got your letter, you've got my song

 

なんでそんなに遠く離れているの?

僕は助けが欲しいのに君は海の向こう側にいる

君に触れることもできない、これっておかしいと思うんだ

僕は君の手紙を受け取って、君は僕の歌を聴く

 

 最後の1文が良すぎる、聴くたびにグッと来るものがある。

 

ただ2番で「その封筒の匂いを嗅いで舐めてる」とか「どんな風に自分の体を触っているのか妄想している」とかいうドン引きのカミングアウトがあるけどそれ込みでも名曲である。ご愛嬌。リヴァースはかわいいなぁ。

 

「世界をかえさせておくれよ そしたら君とキスがしたいんだ」と歌ったサンボマスターと何か通じるものがある。見た目の話じゃねぇよ。あ、見た目もか。

 

 続けても名曲『The Good Life』。「若いころに戻りたい」「これ以上歳をとりたくない」と嘆く歌詞とは正反対なノリノリのアッパーチューンである。このギャップもこのアルバムの特徴である。

 

僕はただ紅茶に砂糖を入れたいだけなんだよ

聞いてんの?紅茶に砂糖を入れたいだけなんだよ!

 ってとこが好き。

 

 名曲メドレーに続くのが『El Scorcho』。

 

ベストフェイバリットソングインマイライフ

 

Goddamn you half-Japanese girls

Do it to me every time

 

と『Across The Sea』と同じくまた日本人(今回はハーフのようだけど)が出てくる。

この子にハローすら言えないという歌だってのはウィーザー紹介記事でも書いたけど最後のサビ前の歌詞では、

 

For all I know you want me too 

And maybe you just don't know what to do 

Or maybe you're scared to say: "I'm falling for you"

 

強がってやがる、、ここが好き。

 

 

『Pink Triangle』。スペースシャワーTVの「INTERNATIONAL FLASH」という番組のWeezer特集でねごとの蒼山さん(Vo/Key)がおすすめの曲に挙げてた。

 切ないメロディの曲なんだけど歌詞は好きになった人がレズビアンだったという内容。

 

そしてアルバムの最後を締めくくる『Butterfly』。弾き語りの暗い曲。最後にI'm sorryと繰り返す悲しい曲。切ない。

Butterfly

Butterfly

 

 細美武士が弾き語りでよくこの曲をやるみたい。細美氏はウィーザーを敬愛するバンドとして挙げている。

 

リヴァースと違ってイケメンだな。

 

名曲揃いだなぁ、好きすぎるなぁ。

 

ちなみにリリース後はセールス面で大コケしてレコード会社にクビを切られかけ、ベースのマット・シャープ脱退などによりバンドは一時活動停止状態になってしまい、本人たちは踏んだり蹴ったり。

 

『Pinkerton』が当時売れなかったのはあるあるで、期待が高まっている分、前作と方向性が変わると「何か違くね??ダメじゃね??」と簡単に評価してしまう。それで久々に棚からCD引っ張り出して聴いてみたら「ええやん!!隠れた名盤や!!」と手のひらを返す。自分にも心当たりがあるのでこれぐらいにしとく。

 

 

 ということで大好きなアルバム『Pinkerton』のお話をさせていただきました。ここまで読んでくれたイケてない皆様長々とありがとうございました。

f:id:shabazooo-tkfm:20160709204839j:plain